様々な分野において国際的に高い評価を受け、研究者としてご活躍されているカブリ数物連携宇宙研究機構教授、伊藤由佳理様にお話を伺いました。大学や研究者にも必要とされているタイバーシティ&インクルージョン。世界トップレベルの研究を行う研究者達が現場で、どうルミナラーニングのリーダーシッププログラムを活かしているのでしょうか。
東京大学国際高等研究所
カブリ数物連携宇宙研究機構教授
伊藤由佳理 様
Q: どのようなきっかけでルミナラーニングのリーダーシップ研修を受講されましたか?
私は数学者として研究をしています。当時は名古屋大学 多元数理研究科准教授で、現在は東京大学に異動し、教授をしています。
2015年頃名古屋大学男女共同参画でリーダーシップ研修の募集をしていました。当時私は教授になりたいとは思っていなかったのですが、リーダーシップ研修というものはどのようなものなのかに興味を持ち、女性研究者対象だったので参加することに決めました。
Q: 参加されたリーダーシップ研修はどのようなプログラムでしたか?
まずはじめにルミナスパークで自分自身を知り、役割練習、プレゼン練習、1年後にフォローアッププログラムも実施してもらいました。自分を知る、相手を知る、それを理解して違うタイプの役割を演じる、対応の仕方を教えてもらいました。プレゼンの練習では、最初と最後でビデオを撮り、自分の好きなものについてプレゼンをするのですが、プレゼンのコツを教えてもらい、英語でしたがビデオで自分の変化を確認できました。
リーダーシップ研修では自分の夢を語る機会がありました。他の参加者も学部が違ったり、年齢も違ったり、ポスドク、准教授など立場の違う教員の人もいました。そのような中、他の参加者も変化をしていくのが面白かったです。凄く刺激になりました。
Q: プログラムに参加してどのような学びがありましたか?
ある参加者は、研究室のワンマンの教授に困っていました。プログラムに参加して、研究室は変わっていないのだけど、参加者の捉え方に変化がおき、ワンマンな人が研究室にいても、明るく自信を持てるように変化をしていきました。他にはより自分に合う研究室を求めて、他の研究所に移った人もいました。ある中国人の留学生がいたのですが、私が昔、子供を連れて留学した話をしたら、「私も子供連れでアメリカにいってきます」と行動を起こしていて、私もびっくりしました。みんな、今の状態に悲観することなく、自分の見方、考え方を変えて行動していったのがとても面白かったです。
リーダーのタイプにもいろいろな人がいます。ルミナスパークで自分の良さを知り、「私はこれでいいのだ」と自分に自信が持てるというのが一番大きかったです。その上で、「あの人は私と違ってこういう傾向があるからこう振舞っているのだ」と理解ができました。数学は一匹オオカミで研究することも多いのですが、いろいろな学生を指導し、他学科の人とも委員会などで一緒になります。
自分とは違うタイプの人を理解し、どのようにしたらよいだろうと考えられるようになったので余裕が持てるようになりました。
ルミナスパークで自分の良さを知り、「私はこれでいいのだ」と自分に自信が持てるというのが一番大きかった
Q: リーダーシップ研修に参加したことはキャリア、お仕事や生活にどんな意味がありましたか?
リーダーシップ研修のファシリテーターだったルミナラーニングジャパンのパートナー、エリザベスにお渡ししましたが、研修に参加したあと、岩波書店の方から、「准教授くらいで、中高生のお母さん世代に近い女性研究者たちがどう進路を決めてどんな研究をしているかを本に書いてくれませんか?」と話がありました。そこで、知人に声をかけて『研究するって面白い』という本を出版しました。そのときはまだ教授ではありませんでしたが、その本はいろいろな人に読んでもらい、いろいろな生き方があるよと見せられてよかったと思っています。
ルミナラーニングのリーダーシップ研修に参加したことで「自分のやりたいことやっていいんだ」と思えたことが本を出版するきっかけにもなりました。私自身や共著者も理系研究者として専門分野や大学を移るなどの進路選択をしながら、出産などのライフイベントも経験しており、本を読んでくれた方々が「自分もやりたいことをやっていいのだと思えた」と言ってもらって嬉しかったです。
ルミナのリーダーシップ研修を受けてからは、「やりたいことをなんでもやろう」と思って行動に移せるようになりました。
ルミナラーニングのリーダーシップ研修を受けて起こした変化として、大きい研究集会をやってみようと思い、開催することもできました。子供が小さい頃はあまり出張ができなかったのですが、自分のやりたい研究もあったので、自分の大学に来てもらって研究集会やればいいのだと気づき、実現することができました。
研修を受ける以前は、人の目を気にして、「周りにどう思われるかな」と思ったり、余計なことはしないほうがいいと思ったりして、やるべきことをちゃんとやればよいと自分自身に枠を設けていました。子供がいて、出張や残業も自由にできないというのもあったと思います。
ルミナラーニングのリーダーシップ研修を受けてからは、「やりたいことをなんでもやろう」と思って行動に移せるようになりました。他にも、本来の業務とは関係なく、余計なことになるのかもしれないけど、子育てしていたこともあり教育にも興味を持っていたので、「数学博物館を作ろう!」という企画もやりました。文系理系の枠も超えて取り組んだことで、日頃数学に関わらない人たちから「数学って面白いですね」って言ってもらえるようなことができました。
名古屋大学でリーダーシップ研修受けて、他の女性研修者も活躍の場を広げていきました。その後、名古屋大学から東京大学に移った女性研究者もたくさんいます。
ルミナラーニングのリーダーシップ研修によって、リーダーが生み出されていると思います。
私は自分自身の経験から、若い研究者は迷いがある人も多いと思うので、東京大学でもルミナラーニングの研修をやってほしいと紹介しました。
ルミナラーニングのリーダーシップ研修によって、リーダーが生み出されていると思います。
Q: ルミナスパークのリーダーシップ研修をご検討の方へのメッセージ
リーダーシップ研修という言葉を聞くと、社長になるためとか、教授になるためとイメージするかもしれませんが、そうではありません。昇進を望んでいる女性は多くないかもしれませんが、ルミナラーニングのリーダーシップ研修は自分に自信を持ち、自分自身にリーダーシップを発揮する研修だと思います。そしてさらに研究室のマネジメントやいろいろな学生やそれぞれの性格に合わせた指導ができるのがいい点だと思います。上下関係なく、職場でも家族でも使える知識が学べます。
ルミナラーニングのリーダーシップ研修は自分に自信を持ち、自分自身にリーダーシップを発揮する研修だと思います。
例えば「理系の女子学生を増やす」と言っても、それは女性の問題ではありません。それを受け入れる環境を作る上の人たちが変わらなければいけません。今後は更にトップの人もリーダーシップ研修を受けるといいと思います。